たまには観光、ヴォー・ル・ヴィコント城

5月のペタンク講習stagesが終わって一休みしたい。
これまで、嫌いだから観光はしない、と言ってきたが、ここセルジーヌ村はあまりに田舎。近所には気晴らしに出かける場所もない。
一日中Raluy家にいても退屈だ。

というわけで、今日は車で1時間ほどのところにあるヴォー・ル・ヴィコント城 Vaux-le-Vicomteに行ってみることにした。

この城はアレクサンドル・デュマの『三銃士』に登場して有名になった。
かつての盟友三銃士が、国王ルイ14世を支えるダルタニャンと大蔵卿フーケの陰謀に与するアラミスとポルトスに分かれ、この城を舞台に対決するくだりがある。
有名な”鉄仮面 Le masque de fer”の巻だ。

もちろんこれは作り話だが、事実を基にもしている。

小説に出てくる大蔵卿フーケは腹黒い悪者として描かれているが、実在した本物のニコラ・フーケは貴族に生まれ13歳で弁護士として認められた秀才。その後検事総長と大蔵卿を兼務して莫大な財を築き出世したところは少し胡散臭いが、大変な教養人であり芸術にも造詣が深かったそうだ。肖像画を見て安直なことを言えば、なかなか繊細で頭の良さそうな顔をしている。

ニコラ・フーケNicolas Fouquet(1615年1月27日 – 1680年3月23日)

その彼が築いたのが今回訪れたヴォー・ル・ヴィコント城 Vaux-le-Vicomte。
フーケの出世を快く思っていなかったルイ14世はこの城の盛大な宴会に招かれ、フーケの財力、それ以上に彼の芸術的センスに嫉妬し、彼を追い落とすことを決意したと伝えられている。

ルイ14世はフーケを逮捕し失脚させたにとどまらず、彼の城を上回る城を建てるべく、その建築に携わった芸術家や職人をそのまま使ってベルサイユ宮殿を建設させた。
ルイ14世がどれほどフーケの芸術センスに嫉妬したかを物語る証拠だろう。

ただ悲しいかな、模倣がオリジナルを上回ることはない。確かにベルサイユ宮殿は壮大で壮麗だが、ヴォー・ル・ヴィコントの知的に凛とした佇まいには敵わない、と私は思う。

私は建築や美術の専門家ではないのであまり偉そうな事は言いたくない。ただ、子供の頃に『三銃士』を読み、フーケという人物を知ったときから彼のことが気になってきた。彼の城を訪れたいと思い、10年前に一度訪れ、今回は2回目だ。

疲れを癒やすため、城の庭園でゆったりとした時間を過ごした。城から最も離れた庭園の頂点に位置するヘラクレス像の下から城と庭園を眺めると、見事な遠近法の下に全体が調和している。

自らの知力とセンスの結晶を具体化させた後、彼は失脚し非業の死を遂げるのだが、何故か私は子供の時からそんな人生を送ってみたいな、と思う時があった。

何故だろう?

“たまには観光、ヴォー・ル・ヴィコント城” への1件の返信

  1. 素敵なお城ですね❣️
    社員旅行で、お城巡りをして、ヴォー・ル・ヴィコント城に行っているか探してみましたがわかりませんでしたー^_^;

    まさに、遠近法を絵に描いたような(笑)、素晴らしい眺めですねー

    思わず、Google MAPで周囲を探索し、現地に行ったかのような気持ちにさせていただきました❣️m(_ _)m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です