クーロンのメシュイMechouiのあとでクラブの役員のセルジュSergeがやって来て、隣町でペタンク大会があるけど参加者が足りないから行ってあげてくれないか、と頼んできた。
住所と時間を書いたメモを渡されたので、翌々日の月曜日にカーナビを頼りに行ってみることにした。
カンヌ・エクルーズCannes-Écluseという小さな町まで車で20分。来れば分かるからと言われて来ては見たが、ペタンク大会らしきものは見当たらない。
人に尋ねながらようやく大会の受付を見つけたが、町のコミュニティセンターのような建物の前に人が集まっているだけで、ペタンクをするグラウンドのようなものは見当たらない。
とにかく受付をしようとしたら、ダブルスの大会だからあんた一人では参加できないよ、と言われた。
そんなことはセルジュSergeから聞いてないので、なんとかしてくれと掛け合ったら、横にいたフランソワFrançoisと言う初老の男性が、私も一人だから一緒にやろう、と言ってくれた。
さて大会開始のアナウンスが始まると、驚くような説明が始まった。
つまり、ここにはペタンクのテランは無いから、近くの公園や市役所の中庭、空き地等を見つけて試合をして欲しい、とのことだ。
テランも用意しないで大会をするとは、さすがフランス、日本では考えられない。
というわけで、対戦相手がアナウンスされると、両チームで場所を探すことになった。
しかし、タマゲた顔をしているのは私だけで、他の参加者は何食わぬ顔で試合場所を探している。
やがて、町のあちこちの空き地でペタンクの試合が始まり、街全体がペタンク会場となっていった。
従って、テランも様々。
市役所の中庭は砂利だったが、その他の空き地とか公園の遊歩道は土と砂利とコンクリート、芝生や雑草が入り混じった複雑怪奇なテランだった。
ビュットが草地の上に跳べば無効にしようとか、ブールは草地に転がっても有効にしようとか、試合のルールは対戦チーム同士の合意で決められていく。
そういえば、出版準備中のペタンク漫画『PASSION…PÉTANQUE』にも似たような話があったことを思い出した。
そうか、これがペタンクの原点なんだな、とようやく納得できたが、セルジーヌSerginesに帰ってラリュイRaluyさんにその話をしたら、フランスでもそんな大会は珍しいよ、とのことだった。
やっぱりな!