先日観光したヴォー・ル・ヴィコント城が良かったので、また観光しようと思い立った。
クーロンのペタンク仲間に何処か近場でお勧めの観光スポットはないか聞いたところゲドゥロン城Guédelonを勧められた。
ペタンク仲間のクリスチャンChristianがその良さを身振り手振りで説明してくれたが、フランス語なのでよく分からない。何か中世の古い城で、手作りで建造されたらしい。
手作業で建設する様子を彼が熱演するのだが、古い城が機械造りな訳はなく、当然手作業だろうと思ったが何も言えず分かったふりをしていた。
とにかく評判の観光地で食事も出来そうだから、退屈凌ぎにのんびり一日過ごしてくることにした。ペタンク仲間のパトリックPatrickがメールで地図を送ってくれたから車のナビで簡単に行けるはずだ。
午前10時にセルジーヌを出発。ブルゴーニュの田園地帯を気持ち良くドライブをして2時間弱で現地に着いた。
駐車場にはバスやキャンピングカーが並び、観光客も多い、特に小学生らしき団体が目につく。
広い敷地には中世の建物、時代の衣装を着たスタッフがいて、しばらく歩くと石造の城砦があらわれた。
驚いた事に城はまだ建造中。中世の衣装を纏った人達がその時代の工具を使って石を削り積み上げて作業をしている。
ひょっとしてと思い、入口で貰った解説のパンフを読んでみてようやく理解できた。
この城は中世の遺跡ではなく、当時の城を当時の工法で再建築すべく始まった現代の実験的歴史テーマパークだったのだ。
城の周辺には石材を作る作業場や木を製材する作業場があり、どこも当時の衣装を着た人達が手作業で働いていた。
なるほど、クリスチャンが説明していたのはこの事だったのか。ようやく分かった。
だけど、はっきり言って、中世の城を再建築する事は学術的には意義のある事だと思うが、私には何か物足りないテーマパークだった。
やはり、人が或る特定の場所に感慨を抱くのは、その場所が人間のドラマに関わっているからだと思う。
そのドラマに感動した人はゆかりのある場所に立つことで感動を想起するのだ。
残念ながらこの城は中世の姿をしているが中世の歴史ドラマとはなんの関係もない。
私はドラマの無い《物》には余り心は惹かれない。
小学生の団体には丁度良い社会見学場だろう。
引率の先生達が一生懸命に解説していた。
私も子供の頃はこんな社会見学を何回もしたな、と思い出した。
しかし、その殆どは忘れてしまった。
やはり、ドラマが無いとね。
(追伸)
帰ってからクーロンのペタンク仲間にこの話をしたら、
”ゲドゥロンGuédelonには大きなドラマがあるよ。
一つはこのプロジェクトを始めようとした人々のドラマ。
もう一つは、この中世の城を建造するプロジェクトのために架空の城主ギルベールを主人公とした歴史的な物語が作られ、その物語に沿って30年計画で建築が進められているんだ。
お前はそういったドラマを知らないだけだ。”
と、バカにされた。
ゲドゥロン城の”ドラマ”について詳しく知りたい方はこのサイトを御覧ください。