5月のstagesも終わりRaluyさんもほっと一息。今夜は久しぶりにペタンク話を聞くことが出来た。
今夜の主役はマルセル・サルニト Marcel Sarnito。彼のあだ名はl’Alligator(アリゲーター、凶暴なワニの一種)。
勝負にかける貪欲で攻撃的な姿勢からそう呼ばれたらしい。
彼はプレイヤーとしても一流で、1965年の全仏選手権トリプルスと1974年の全仏選手権ダブルスで優勝している。
しかし、彼の活躍の場は昼間の競技場だけではなく、夜の世界にもあった。
ペタンクというと南仏が本場だが、パリParisでもペタンクは盛んだ。
特にパリ郊外のブーローニュの森にあるオートゥイユ荘 Chalet d’Auteuil には夜な夜なパリから様々な腕に覚えのあるペタンクール達が集まり、飲み食べ語り、ペタンクのゲームをするのだ。
このパリの夜の神秘的なペタンクの世界に君臨したのがこのマルセル・サルニト。
写真ではダンディな佇まいだが、彼と勝負するものは彼の強烈なオーラに圧倒され、萎縮して力が発揮できなくなったそうだ。
オートゥイユ荘 Chalet d’Auteuil に集まるのは労働者、水商売、芸術家、金持ちの経営者等々、雑多なパリの人々。
その中には当時高校生のRaluyさんもいたという。
ある大きな大会での出来事。
白熱した試合が続き12対12で彼の最後の1球に勝負がかかっていた。
彼がティールに成功すれば、つまり彼の投げたブールがはるか先にある直径7センチの敵のブールに当たって弾き出せば彼の勝ち、外せば負ける。
一体どれほどの《大勝負》だったのか知らないが、彼はブールを握りサークルを出て敵のブールの前まで静かに歩み寄った。
そこで敵のブールを見つめ彼は微動だにしない。
観衆は囃し立て、敵も喚く。でも彼は動かない。
しびれを切らした仲間が叫んだ、
”どうしたマルセル!いつになったら投げるんだ!”
彼は顔を上げ周りを一瞥して制し、こう言ったそうだ。
”この相手のブールがデカくなるのを待ってから当ててやるんだ!”
そしてサークルに戻り、見事にティールを決めたという。
そこで奥さんのアンヌ・ポールAnne Pauleがまた口を挟んだ。
”芝居がかってるわね!”
まあ、l’Alligator凶暴なワニだからね、それぐらいの凄みは出すだろう。
と私は思った。
周りに引きずられることなく、じっとブールを見つめ続けることのできる精神力が素晴らしい!
自己効力が高いですねー^_^
私たちも自分を信じていきたいものです。
生まれ持っての気質もあると思いますが、鍛錬を重ねて獲得したものでしょう。
モナコの地元の中高年の人達も名前が違っていたが、ボール投げに興じていた!