書き忘れたこと③CIEPの投球思想とは?

フランスのセルジーヌSerginesに本拠を置くCIEP(国際ペタンク指導機関)のペタンク講習stagesを昨年1回今年3回と計4回受講した。延べ日数で18日間の受講だ。

受講内容は毎回ブログで紹介しているので概ね理解してもらってると思うが、少し書き漏らしたこともあるので今回追加で説明したい。

実技については様々なアトリエを使用してトレーニングを行い、コーチが各人の技術について個別に指導してくれる。
これは日頃の練習で先輩や上級者のアドバイスを受けているのと基本的には変わらないと思う。

一方、stagesは通常4〜5日かけて行われるが、その相当時間が講義に費やされる。
講義はフランス語で行われるため最初は何を言っているのかよくわからなかった。

しかし、昨年今年と4回も受講して毎回同じ様な内容の講義を聞いていたため、最後の頃は少し理解できるようになった。

講義はペタンクの歴史や競技特性などの一般論も多いが、投球技術に関する具体的な解説もある。

投球技術なんて実践が全てだろうと考える人も多いと思うが、CIEPには独自の投球思想がある。

それは”力まず自然に投げる”ということだと私は理解した。

自然な腕の振りbalancer、しなやかな動作souplesse、美しい放物線belle courbeといった言葉が何度も使われた。

その思想が端的に表れているのが、ティール時の目標の狙い方だと思う。

人間の体と投球メカニズムを考えると、
①ブールは肩を軸とした腕の振りによって投球される。
②一方、視線は体の中心軸にある両目から目標を捉える。

この時、肩の軸と視線の軸のブレをどう調整するのかという疑問が生まれる。

多くのプレイヤーは肩の軸と視線の軸のブレを調整するため、体と首を利き腕側に歪め、肩の軸と視線の軸を同一線上にして投球しようとする。

これに対し、CIEPでは、このブレは身体的には調整せず、体と顔はまっすぐ前を向き、腕も自然な前後の振りで投球するよう求める。

肩の軸と視線の軸のブレは脳内で自動的に調整が行われるという考えらしい。

この教えには最初私も戸惑った。
なぜなら、有名選手でも体を歪めて投球している、と理解していたからだ。
例えば、現代最高のティール手であるディラン・ロシェDylan Rocherのフオームを思い起こしてほしい。
彼は肩の軸と視線の軸を同一線上にして投球しているように見える。

Dylan Rocher : "La pétanque aux Jeux olympiques de Paris, c'était le moment ou jamais" - lindependant.fr
ディラン・ロシェDylan Rocherは特別才能に恵まれたプレイヤーであるから、一般のプレイヤーは真似をすべきではない、と教えられた。

しかしCIEPでは、そうした体を歪める投球フォームは身体上の負荷と不安定を生み、正確で安定したティールの妨げになる、と考えている。

マルコ・フォヨMarco FoyotのフォームはCIEP方式に近いと私は思った。

私も一応はこの教えに従って投球しようとしているが、なかなか難しい。
勿論ティールは殆ど当たらない。

でももう少し教えられた通りに練習を続けようと思う。

さて、私の説明はご理解いただけましたか?

”講義の写真で説明してほしい”、と思われたでしょう。

そう、私もこの講義の写真は撮りたかった

しかし、それは出来なかったのです。

その理由は次回取り上げます。

“書き忘れたこと③CIEPの投球思想とは?” への3件の返信

  1. CIEPの “力まず自然に投げる”思想に接し、意を強くしました。私は長くティールをしてきて、その投法はさまざまに変化してきた。
    1.“くの字投法”(デュランの投法)
    2.“ハズミ投法”(軸足に力を入れ、ハズミで投げる)
    3.腕振り投法(腕の力で投げ、弾道はやや低め)
    4.体幹がブレない自然投法
    この4番目が、今自分の辿り着いた投法である。これがまさしくCIEPの投法思想だと思い自信が持てた。(この投法になってからも確率は高くないが、長時間投げ続けても疲れないことが私にとってうれしい。)
    アミカル氏のお陰でCIEPの投球思想に出会えたことに感謝です。

    1. 古木翁コメントありがとうございました。
      ”力まず自然に”と言うのは容易ですが、実践はなかなか難しいことです。
      私は”力まず自然に”を意識しすぎて、力んでぎこちない投げ方になってしまい、練習の後は肩が痛くなります。
      何が”自然”かを考えるより、投げた後疲れが残らない投げ方が本人にとって”自然”なのかもしれませんね。
      翁が既にこの境地に達しておられたとは、さすがです。

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